日本の全体的な再生エネルギーの発展状況
日本政府はカーボンニュートラル実現のため、現在(2021年)、2030年までに再生可能エネルギーの総電力量に対する比率を36%~38%まで増加し、非化石エネルギー(再生可能エネルギー、原子力、水素エネルギーなど)の使用比率を約60%まで高める新エネルギー基本計画を発表しました。
出典:IRENA
日本の再生可能エネルギーの導入において、太陽エネルギーが66%で最多であり、その他再生可能エネルギーが30%、風力エネルギーが4%を占めています。4206MWの風力発電量のうち、洋上風力発電はわずか65.6MWです。
日本の将来における洋上風力発電量予測
現在、日本の洋上風力発電量は65.6MWですが、環境アセスメントや審査段階のプロジェクト対象の発電量が14.4GWを超えています。現在、政府が発表している新政策の目標値から、日本で今後10年間の開発が積極的であることが予測されます。Wind InfoLinkは 2021 年から 2030 年における日本の洋上風力発電量を3つの基準で予測しています。
出典: InfoLink Consulting
楽観的予測の場合、2030年の時点で政府目標は10GW近くに達しています。
一般的予測、悲観的予測では、日本の環境アセスメント手順が複雑かつプロセスが長いため、延長の潜在的リスクを考慮していますが、毎年の政府発表によると、承認された3~4か所の開発指定地域では開発によって少なくとも1GW以上の発電量が増加します。よって、総合的に評価すると、2030 年における一般的予測は 8.4 GWであり、悲観的予測では6.5 GWのみ運転開始の見通しです。
秋田港と能代港のウィンドファームは2022 年に運転開始され、合計発電量は 日本のウィンドファームで最大規模の143 MWに達する見通しです。同年における開発区域のウィンドファームは相次いで建設段階に突入しており、毎年1~2か所のウィンドファームが完成し、日本の洋上風力発電の開発がますます顕著になっています。
出典: InfoLink Consulting
日本の政策と洋上風力発電開発の概況
日本が2020 年 12 月に発表した「洋上風力産業ビジョン(第一次)」の内容には更新された洋上風力発電量目標と産業目標の設定が含まれています。日本では 2030 年までに洋上風力発電による合計発電量が 10 GW、2040 年には 30 ~45 GW達成することを目指しています。また、サプライチェーンも国産化を目指し、2040年には国内サプライチェーンの施設が60%を超え、2030~2035 年の固定式洋上風力発電の発電コストを8 – 9 円/kWh(約2台湾ドル)削減することを目標としています。
今年(2021)6月には五島列島の浮体式洋上ウィンドファームの入札結果を発表しましたが、これは日本が2019 年 4 月に「再エネ海域利用法」施行後初の洋上ウィンドファーム競売でした。また、秋田県における480MW規模の能代市、三種町および男鹿市沖のウィンドファーム、700MW規模の由利本荘市のウィンドファーム、および千葉県銚子市における370 MW規模のウィンドファームの入札結果の発表を予定しています。
日本政府は今年(2021)年9月に秋田県八峰町・能代市を5番目の開発促進区域に承認して、次回の競売のベースとなる4か所の候補区域と10か所の準備区域を指定し、日本はこれに基づいて洋上風力発電プロジェクトを始動しています
出典: InfoLink Consulting
洋上風力発電における日本の助成制度
日本の現在の助成制度は固定価格買取制度(Feed-in Tariff, FIT)であり、洋上風力発電の固定買取価格は36 円/kWhです。2020年より着床式ウィンドファームは34 円/kWh を買取価格の上限とするFITと競売方式の併用を開始し、浮体式ウィンドファームは引き続き36 円/kWh の固定買取価格を採用しています。
日本はフィードインプレミアム(Feed-in Premium、FIP)制度を承認済みであり、政府は電力市場で業者に対して販売のプレミアムによる女性を行う予定です。FIPは2022 年 4 月に開始されます。
日本の洋上風力発電と水素のポテンシャル
日本は再生エネルギーの発電量比率増加以外に、再生エネルギーによるグリーン酸素の製造と輸出を目指しています。北海道は風況に恵まれているため、日本の洋上風力発電開発におけるポテンシャルの高い区域の一つであり、北海道電力など4社の国内企業が「洋上風力発電を利用した水素製造技術開発」プロジェクト(詳細:ネットゼロエミッション目標で水素を多元的に応用:洋上風力と水素製造が結合)を共同開発し、 北海道石狩市に110KW規模のウィンドファームと水素製造施設建設を計画、2024 年 3 月に稼働開始予定です。毎年の水素製造量は550 トンに達し、地域における水素製造量を2,500 トンまでの増加を計画しています。
結論
これまで日本では、洋上風力発電の開発はあまり進んでおらず、他の再生可能エネルギープロジェクトと比較して、関連政策の推進も遅れていました。 しかし、近年の政策更新では、目標値と現地の開発要求の両面から、日本が風力発電の開発に取り組む決意を示しており、今後10年間の開発によるポテンシャルは決して過小評価することはできません。
現段階では、日本の投資家やデベロッパーの多くは各地の電力会社(関西電力、中部電力など)を中心とした地元企業ですが、オーステッド社は近年、日本の洋上風力発電市場に積極的に参入し、地元企業と共同で2つの洋上風力プロジェクトの開発、第1回入札への参加を計画しています。これは、日本市場における開発機会が世界へ拡大しているだけではなく、開発者の構成が変化する可能性を示しています。日本の洋上風力発電の政策目標が明確になるにつれ、毎年、各設備の発電量が多々発表されるようになると、外国企業が風力発電所の開発権を確保できる可能性が高くなり、これまで地元企業が優勢だった状況が変わってきます。