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制作者 InfoLink
更新日 July 19, 2022

中国は近年、世界の太陽光発電市場急速成長における主要な推進役の一つで、世界最大の需要国であると同時に、世界最大の太陽光発電サプライチェーン集積地でもあります。太陽光発電サプライチェーンの川上から川下まで、世界の供給量の80%以上が中国によるものとなっています。
 
2022年の中国市場は既にコスト低下・政府補助金なしの段階に入っています。第14次五か年計画では、再生可能エネルギーによる電力消費を2025年末までに20%、2030年には25%とすること、また、風力と太陽光発電の累積設置容量を1200GWとすることを目標に設定しています。

今年の中国市場では太陽光発電所の設置容量が80GWを超え、高い成長を維持する見通しです。2025年には年間の太陽光発電モジュールの需要が170GW以上になると予想されています。今年の中国の太陽光発電需要の構成を詳細にみてみると、全需要83GWのうち43GWが分散型と見込まれます。分散型のうち25GWを占めるのが住宅用太陽光発電で、これがけん引し、分散型の総容量は過去最高、中国での設置容量の52%を占める見通しです。中国では昨年、分散型の占める割合が初めて集中型を上回りました。このことは分散型の大幅な伸びを示しただけでなく、重要な節目にもなりました。

しかしながら、今年予想される地上設置型発電所の需要も40GWと過去最高です。エネルギー貯蔵政策が集中型に傾き、今年の需要拡大が見込まれる中、エネルギー貯蔵業界も著しく発展しています。足元では、河北、青海、内モンゴル、寧夏、新疆を5大市場とする地上設置型太陽光発電、加えて砂漠での400GWにもなる大型風力+太陽光発電プロジェクトの第一期100GWの建設も始まっていることで集中型エネルギー貯蔵市場のさらなる拡大余地が期待されます。
 

2022年は太陽光発電+エネルギー貯蔵政策が強化

太陽光発電市場の急速な拡大に合わせて、中国は2021年にフロント・オブ・ザ・メーター(FTM)の太陽光発電+エネルギー貯蔵政策をより積極的に推進し始めました。2021年8月時点の統計では、既に20の省と市で太陽光発電+エネルギー貯蔵に関する政策を公布しており、新設する太陽光発電所には5-20%のエネルギー貯蔵施設の設置を求めています。政策は優先的インセンティブ型と義務化に分けることができ、当初は多くの省で優先的インセンティブ型の柔軟な政策を中心とし、求めるエネルギー貯蔵装置の設置容量比率は多くが10%でした。2022年6月になると、太陽光発電+エネルギー貯蔵に関する政策を公布した省が増えたほか、一部の省では優先的インセンティブ型としていたものを義務化に転換し、求める設置容量比率を引き上げるケースもあり、中国が新エネルギー発電側でのエネルギー貯蔵を発展させる意志が色濃く示されています。

2022年は太陽光発電+エネルギー貯蔵政策が強化


2021年の集中型太陽光発電と太陽光発電+エネルギー貯蔵政策におけるエネルギー貯蔵需要

中国の2021年の太陽光発電設置容量が55GW近くだったことからすると、InfoLinkの分析データによれば、太陽光発電+エネルギー貯蔵政策関連の省レベルでの太陽光発電設置容量は45GW、このうち集中型が約22GWで、48.4%を占めます。エネルギー貯蔵については、2021年の設置容量が2.4GWで、このうちFTMの割合が80%近くに上り、1.85GWとなっています。さらに、FTMのうち、太陽光発電に併設されるエネルギー貯蔵の割合は30%未満のため、FTM太陽光発電+エネルギー貯蔵は約0.5GWにとどまるということになります。

2021年の各省レベルの集中型太陽光発電設置容量と対応する太陽光発電+エネルギー貯蔵政策から、InfoLinkが理想的なシナリオで推計したFTM太陽光発電+エネルギー貯蔵市場の需要量は表の通りです。それによると、2021年の太陽光発電+エネルギー貯蔵規模は1.38GWとなり、実際の設置容量0.5GWとは大きな差がありました。この結果に至った主な要因は、(1)中国ではエネルギー貯蔵の発展初期で、政策最適化の段階にあり、政策が公布されてから設置されるまでの時間差があること(2)原材料価格の高騰やセルの供給不足など―が挙げられます。それでも、2021年のエネルギー貯蔵規模は2020年比100%増と大幅に増加しており、InfoLinkによる理想的シナリオでの規模推計が示すように、中国のFTMエネルギー貯蔵は拡大が期待されます。
 

2022年の集中型太陽光発電と太陽光発電+エネルギー貯蔵政策におけるエネルギー貯蔵需要

2022年、世界では再生可能エネルギー推進関連の政策がより積極的になっています。また、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きつつあることで、今年の市場は明るい見通しです。InfoLinkの予測によると、今年の中国の太陽光発電設置容量は83GWと、2021年に比べて50%以上増加する見込みです。また、太陽光発電+エネルギー貯蔵政策に関連する省レベルの太陽光発電設置容量は75GW、このうち集中型は約36GWで48%を占める見通しです。

エネルギー貯蔵市場については、今年の中国での伸び率は前年同様100%を超え、5GW以上の規模になると予測されています。このうち、FTMの割合は依然として高水準を維持し75%、規模は4GW近くになるとみられます。また、2021年のFTMのうち太陽光発電に併設されるエネルギー貯蔵の割合が約30%だったことを鑑みて、InfoLinkは今年のこの割合が40%を超えると予測し、2022年のFTM太陽光発電+エネルギー貯蔵の実際の設置規模は2GWになると推計しています。

また、2022年の各省レベルの集中型太陽光発電設置容量と関連する太陽光発電+エネルギー貯蔵政策から、InfoLinkが理想的なシナリオで推計したところ、太陽光発電+エネルギー貯蔵市場の需要量は3.9GWに達します。先に述べた実際の設置規模の予測2GWは、理想的シナリオの推計値とは大きな差があるものの、前年比伸び率は300%を超えます。これは政策による後押しが確実に効果を挙げていることを表しているほか、比較的強い政策に対しては、市場が衝撃を吸収し、適応するにはまだ時間がかかることも示しています。
 

中国「3060目標」における太陽光発電+エネルギー貯蔵の成長規模

2021年から2022年にかけての中国の太陽光発電市場は55GWから83GWに、FTM太陽光発電+エネルギー貯蔵市場は0.5GWから2GWに成長し、政策をもとにした理想的シナリオで推計した太陽光発電+エネルギー貯蔵市場の需要量は1.4GWから3.9GWに拡大する見通しです。

中国では太陽光発電市場の急速な成長のもと、エネルギー貯蔵の併設需要も伸びると見込まれ、今後、中央、省・市ともにエネルギー貯蔵併設に関する政策を見直しを加えながら強化していくとみられます。今年6月7日公布された《新型エネルギー貯蔵の電力市場参入と調整運用のさらなる推進に関する通知》により、エネルギー貯蔵は太陽光発電+エネルギー貯蔵政策に合わせるためのものではなく、より独立してアンシラリーサービスに参入することになり、収益と経済的価値向上、業界発展が喚起されると見込まれます。このため、InfoLinkは、太陽光発電市場の急速な成長とエネルギー貯蔵政策の相乗効果により、中国のエネルギー貯蔵市場が2020年の2.4GWhから、2025年には32GWhに拡大し、累積規模は100GWh近く、年平均成長率は70%に迫ると予測をしています。InfoLinkは今後も、市場発展の課題とこの先の政策動向を追跡していきます。


中国の電気化学的エネルギー貯蔵市場規模

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