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制作者 Alan Tu
更新日 April 25, 2022

2022年は昨年同様、シリコン材料の供給能力という課題に直面しています。昨年から現在に至るまで、サプライチェーン全体がシリコン材料の供給不足の影響を受けて価格が高止まりしており、今年は四半期ごとに値が下がっていくという年初時点の大方の見方を覆しています。InfoLinkによる太陽光発電市場の需給面に関する分析は以下の通りです。


2022年の太陽光発電市場は引き続き需給アンバランス

InfoLinkは今年の世界の需要量が223GWになると予測しています。楽観的な予測では248GWとしており、年末時点の太陽光発電市場の累積設置容量は1TWとみています。

今年を全体的に見てみると、中国の需要が依然として最大で、国内政策による後押しが続く中、80GWのモジュール需要が太陽光発電市場の発展を力強くけん引する見通しです。これに続くのが欧州市場で、ウクライナ戦争を背景に、ドイツをはじめとする欧州各国が従来型燃料への依存から脱却するために再生可能エネルギーの発展を加速させています。欧州の年間の新規モジュール需要は49GWと見込まれ、引き続き中国に次ぐ規模の市場になるとみられます。

3番目の市場はアメリカで、同市場は昨年から供給と需要にズレが起きています。アメリカが昨年発動した違反商品保留命令(WRO)の影響で供給量が縮小しており、需要が予定通りに拡大できない状況です。また、商務省が今年、東南アジアからの迂回防止調査を開始したことで、東南アジアからの電池セルとモジュール供給に影響が及び、アメリカでは調達に不確実性が生じています。WROにより稼働率が低迷していた東南アジアのメーカーにとってはダブルパンチとなり、年間の供給は需要を満たせない状況です。アメリカのモジュール需要は昨年の26GWから横ばい、またはこれを下回る見通しです。上位3市場で今年の太陽光発電市場の7割近くの需要量を占める見込みです。

2022 四半期別モジュール需要

四半期ごとにみてみると、サプライチェーン価格が高止まりしている中、第一四半期の需要はある程度の水準を維持して50GW前後。このうち、中国市場では昨年末に送電網への接続が遅れたプロジェクトが進められています。集中型プロジェクトでは、短期的にモジュール価格が高止まりしていることで一時見合わせも出ましたが、分散型プロジェクトは価格に対する許容度が高く、調達を続けました。海外市場については、インドで年度末と、4月1日からの太陽光発電設備の輸入に対する基本関税(BCD関税)導入を控え、駆け込みでの調達が増えて、第一四半期の需要量は4~5GWとなりました。このほか、アメリカの需要は安定して増加し、欧州市場では予想以上の需要。足元の引き合いと発注は拡大しており、価格に対する許容度も高まっています。

第二四半期は、中国の分散型プロジェクトと一部の集中型プロジェクトによる調達、欧州でのエネルギー転換による太陽光発電モジュールの高水準の調達、さらには、アジア太平洋地域での安定した需要が見込まれます。一方、アメリカでは迂回防止措置、インドでは高いBCD関税の影響で需要が縮小。第二四半期全体の需要は、第一四半期から微増の52GWの見通しです。

第三四半期、第四四半期については、中国市場で確実に見込まれるものとして、足元の価格水準での集中型プロジェクトによる調達と分散型プロジェクト進展があり、これによる需要は80GWと予想されます。また、米国市場の状況がより明確になるのは迂回防止調査の結果が出てからになる見込み。8月末までは、東南アジアメーカーの多くが迂回防止調査のため、稼働率を低く抑えるしかなく、米国市場のモジュール不足につながるとみられています。欧州の需要は増加が続いており、年間を通して繁忙期・閑散期の区別がない状態が見込まれます。総体的には、下半期の需要は上半期を上回ると予想され、需要は四半期ごとに増加し、第四四半期がピークになると見込まれます。

大手メーカーの生産能力と需要予測

上記のグラフで分かるように、今年のシリコン材料の供給能力は昨年に比べて大きく改善されており、理論上は最終需要を満たすことができます。しかしInfoLinkは、今年もシリコン材料は供給不足が続くと予想しています。理由の一つは、新たな生産能力が生産を開始してからフル稼働に達するまで半年ほどかかるため、実際の生産量は限られることです。次に、シリコン材料メーカーの新生産能力の進捗は一定ではなく、第一、第二四半期は緩やかに増加し、第三、第四四半期になってから大幅に伸びる見通しであること。最後に、シリコン材料の生産は続いているものの、中国での深刻な新型コロナウイルス感染拡大で物流スケジュールが影響を受け、納入量が縮小することが挙げられます。こうした供給レベルで、シリコンウエハー関連の膨大な生産能力からの引き合いに対応すれば、今年再び供給不足に陥ると予想されます。

原材料と補助材料の価格動向もモジュール価格が上昇を続けるかどうかに関連しています。このうち、注目されているEVA粒子はシリコン材料の状況と似ており、今年の生産能力はモジュール向けの需要を満たすことができそうですが、メンテナンスと新型コロナウイルス感染拡大の影響で、短期的に需給ミスマッチが生じるとみられます。

サプライチェーン価格は高い水準を維持すると予想され、低下傾向に転じる可能性があるのは今年末にシリコン材料の生産能力がフル稼働となってからでしょう。また、来年はサプライチェーン全体が健全な発展を取り戻すと予想され、長く利益が圧迫されてきたモジュールとエンドシステムの企業が一息つけると期待されます。高水準の価格と旺盛な需要のバランスをいかにしてとるかということが、今年、非常に注目される課題になるでしょう。

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